木下令子

2019年10月05日(土) ー 10月19日(土)

木下令子 2019, 日照時間 20×20cm アクリル、印画紙

木下令子のアトリエには大きな窓があり、眼下一面の梅林と、刻々と変化する空の色がスクリーンのように広がる。彼女はその窓辺に紙を並べ、日光を使って「製作」するが、傍目にそれは、無造作に散らかり日焼けした紙片にしか見えないだろう。木下の作品は、日光による印画紙の感光、紙の日焼け、皺や折目、エアブラシから拡散される霧状の絵の具をメディアとし、時間の経過そのものを表現しようとする行為である。2017年の作品発表の際に、『写真でもなく映像でもなく、時間の経過そのものを絵にすることはできるだろうか。』と彼女が記すように、印画紙を使った作品は、彼女の手によって描かれ、コントロールされてはいるが、日の光によって「さらに加筆される可能性」があり、それが鑑賞者の手に渡ったのちも続くことで成立している。(実際に大きな変化はないが、印画紙は感光し続けている。) また、日焼けを利用した作品は、日々くりかえす作家の作為と日の光という現象の間でやりとりされる往復書簡のような存在だ。 これらの作品はアートの文脈で製作されているのだが、同時に工芸的で身近な存在に感じる魅力がある。それは、作品の素材として折り目や皺という「生活」を感じる人の行為が在り、作家の行為に「経年変化」というものへの憧憬の念を感じるからかもしれない。 今展のタイトル「憬」とは、憧れ、想い巡らせることを意味する。木下令子の作品は、生活の中で見落とされている些末な存在に気づきを与え、その存在を示すことで、ここではないどこか − 想像の旅へ連れて行ってくれる。

GALLERY crossing 黒元 実紗

木下令子 2019, 日照時間 16.5×12cm アクリル、印画紙
木下令子 2014, echo 10.5×14.8cm アクリル、日焼けさせた紙
木下令子 2013, 日溜まり 45.5×43.5cm アクリル、日焼けさせた紙

PROFILE

木下令子
1982年 熊本生まれ 。 2007年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。 2009年 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。 これまでの主な個展|2018 年 「 夕べがあり、朝がある 」 LOOP HOLE/ 東京、 2017年 「 日のふるまい 」 HAGISO / 東京、 「 ゆるやかな仕掛け」switch point / 東京、2016年 「 日照時間 」komagome cas 14-1 / 東京、 2015年 「 日のなかの点 」 清須市はるひ美術館 / 愛知 ほか  所蔵|清須市はるひ美術館

INFORMATION

木下令子

2019年10月5日(土)- 10月19日(土)
12:00 - 19:00(最終日17:00)
休廊日:10月8日(火)、10月15日(火)
作家在廊日:10月5日