池田優子

Tide

2020年10月10日(土) − 10月24日(土)

池田優子 "Tide", 2020, 21×20×4cm

一定の周期で繰り返す、すべてのものに流れる見えないエネルギー。月と地球が惹かれ合うことによって起きる、海面の昇降 − 大きな呼吸のようなもの。今展のテーマ「Tide」は、池田優子の中にある力強さや静けさへの、私自身の興味に端を発したものだ。彼女のつくるうつわは、やわらかな形や自然を思わせる色彩に定評があるが、前回の個展の際に垣間見えた深い部分、ずっしりと重さのあるものを感じてみたいと思っていた。そうして今展のために制作された作品は、月から眺めた海の一片を思わせ、または岩場の水たまり、夜の海の深淵や、サンゴ礁のようでもある。一方、彼女が以前から取り組む銀彩の鉢などは軽やかさを増し、静かにたゆたう海面のような、または銀の月面のようなイメージとなった。私は、これら池田優子のうつわについて、陶器というよりは立体的なドローイングとして受け止めている。実用、非実用を問わず、釉薬や質感の重なりによる色彩は空間に風や潮の香りを運び、見るものを想像力の旅へと連れ出してくれるだろう。前回の個展「Swell」から、今展のテーマ「Tide」へ。もっと深く、遠く、そして静かで力強いエネルギーを描いた、池田優子の新たな表現をご高覧いただければ幸いです。

GALLERY crossing 黒元 実紗

池田優子 "Tide", 2020, 21×20×4cm
池田優子 "Tide", 2020, 21×25×7cm
池田優子 "Tide", 2020, 29×22.5×9cm
池田優子 "Tide", 2020, 24×19×8cm
池田優子 "Tide", 2020, 20×20.5×6.5cm
池田優子 "Tide", 2020, 23.5×22.5×7cm

PROFILE

池田優子
1973年大阪市生まれ。アメリカ・プラットカレッジ サンディエゴ校 グラフィックデザイン科 修了。美しいビーチと温暖な気候のカリフォルニア州・サンディエゴで学生時代を過ごしたという彼女の風通し良い人柄は、海の向こうを感じさせる。帰国後、独学で作陶をはじめる。先人の作品や講習会から学び、大阪にある自宅ガレージを改装したアトリエで制作を重ねるその作風には伸びやかな存在感がある。

INFORMATION

池田優子
Tide

2020年10月10日(土)- 10月24日(土)
13:00 - 18:00
休廊日:火曜定休
作家在廊日:10月10日(土)

今後の展覧会スケジュール

11月7日(土)~ 11月22日(日) 熊谷峻