河合和美

Incarnation

2020年08月29日(土) ー 09月13日(日)

河合和美 "Incarnation", 2020

岡山県の山中に暮らし、作陶する陶芸家・河合和美。山には、たくさんのエネルギーが生まれては朽ち、常に変化し続けながら現れる。彼女はそれを受け取り、寄り添い、時に介入し、また、その勢いに飲み込まれないように受け止めながら、暮らし、それらから得たエネルギーを陶にうつす。その作品は力強い生命力・自由を感じさせると同時に、空間での静粛な佇まいが魅力的だ。今展のタイトルは「Incarnation」。化身・具体化・一時の姿などの意味だと、彼女からのメッセージに書かれていた。

『最近は庭に現れるきのこたちに強く心惹かれています。きのこは平常は目に見えない菌の姿で過ごし、条件が整った時にのみあの不思議な姿を、胞子を飛ばすだけの為に作り上げます。まるで山の聖なるエネルギーが結晶となり、目の前に現れたかのような神々しさ。きのこから投げかけられるメッセージはいろいろありますが、日常を過ごす中で頭の中にふわふわと浮かんできたささやかな気づきや考えが、何かのきっかけで結びつき、形となり、それらに乗せ遠くへ届けられることは、作品の生まれくる瞬間から人々の暮らしに届くまでと重なりました 』。

時世はこの春から変わらず、見えないウィルスというエネルギーに一喜一憂しており、「Incarnation」という単語は今、この時にこそ深く響くテーマなのだが、作品からは山中を賑わすきのこの姿が想像され、ユーモラス。河合和美らしい、変化へのポジティブなメッセージが溢れている。

GALLERY crossing 黒元 実紗

河合和美 "Incarnation", 2020
河合和美 "Incarnation", 2020
河合和美 "Incarnation", 2020
河合和美 "Incarnation", 2020
河合和美 "Incarnation", 2020
河合和美 "Incarnation", 2020

PROFILE

河合 和美
1984年生まれ。 瀬戸で焼きものを学んだのち岡山へ居を移す。自然と土に寄り添い暮らす 日々から受け取る喜びをかたちに。

INFORMATION

河合和美
Incarnation

2020年8月29日(土)- 9月13日(日)
13:00 - 18:00
休廊日:火曜定休

今後の展覧会スケジュール

10月10日(土)~ 10月24日(土) 池田優子
11月7日(土)~ 11月22日(日) 熊谷峻

アラーナ・ウィルソン

惑星、慈愛、そして絶間ない流れ

2020年07月23日(木) ー 08月10日(月)

Alana Wilson "Planets, Mercies, & The Flow", 2020

主に陶をメディアに制作活動を行うオーストラリアのアーティスト、アラーナ・ウィルソンの個展を開催いたします。今回の展覧会は、2年前に彼女が来日し、弊廊で小さな展覧会を開いた時から繋がっている一本の線上にあるものです。この春、世界中を襲ったパンデミックにより、一度は延期(実質的な中止)が決定していましたが、アーティストの要望により内容を変更しての開催となりました。
この内容の変更は、非常に衝動的で、リアルタイムなアップデートです。彼女は、当初のスケジュールを変更し、あらかじめ考えていた展示作品に、ロックダウン中の思考を反映させた「今、表現すべき事項」を日本で発表するために、新たな作品を制作しています。

アラーナ・ウィルソンの作品は、非常にパーソナルな小さな点から出発し、何万年にも渡る人類の営み、栄枯盛衰の中で常に人の暮らしの側にある「器」という存在を通じたヒューマニズムへの問いかけへとつながります。

今回の展示作品は、パンデミック中の短い期間から現在の間までに、新たに作家の思考から生まれ出たものです。彼女はこの期間中に感じ、目にした様々な人間の道徳性やものの見方について、思考し、作品を通じて問いかけています。
すべてのものの中にある、深い美しさと光に気づく瞬間があること。そのために正しいマインドセットでものを眺める必要があること。この数ヶ月で、世界に対する人々の見方がどのように変わったか。ミクロな出来事に目をこらすことで見える大きな美しい光について。世界は全ての相互作用と関係性によりできています。それは絶えず流れの中にあり、変化し続けていますが、私たちは目をこらすことでその中にある”Halo”(光輪・オーラ・ハロー)を見ることができるということを、作品を通じて示しています。具体的にそれは、作品における釉薬表現 − 炎による色、フラッシュ、微妙なニュアンスの色領域などに関係しています。窯の中で起こる様々な事象により現れるそれらは、セラミックにおける”Halo”です。

展覧会は3つの作品群により構成されます。「Planets 惑星」と題された8つのボリュームある作品、「Mercies 慈愛」と題されるたくさんの小作品、そして映像作品「The Flow 絶え間ない流れ」。これらは相互に影響し合い、常に変化し続けるインスタレーションとともに展示されます。

GALLERY crossing 黒元 実紗

Photograph by Alana Wilson.

Alana Wilson "Planets, Mercies, & The Flow", 2020
Alana Wilson "Planets, Mercies, & The Flow", 2020
Alana Wilson "Planets, Mercies, & The Flow", 2020
Alana Wilson "Planets, Mercies, & The Flow", 2020
Alana Wilson "Planets, Mercies, & The Flow", 2020
Alana Wilson "Planets, Mercies, & The Flow", 2020

PROFILE

アラーナ・ウィルソン
オーストラリア出身。シドニーを拠点に活動する陶芸家。海底遺跡から発掘された壺のような質感と色調の陶器は、繰り返される実験的な釉薬と焼成による。古代の壺や器、考古学的なもの、海や水から強いインスピレーションを受けている。これまでに、豪州を中心に、アメリカ、イギリスでも作品を発表。日本での展覧会はGALLERY crossingでの2人展2018年「Ode」に続き、今回が初の個展となる。
www.alanawilson.com

INFORMATION

アラーナ・ウィルソン
惑星、慈愛、そして 絶間ない流れ

2020年7月23日(木)- 8月10日(月)
※当初のスケジュールより変更になっております
13:00 - 18:00
休廊日:火曜定休

今後の展覧会スケジュール

8月29日(土)~ 9月13日(日) 河合和美
10月10日(土)~ 10月24日(土) 池田優子
11月7日(土)~ 11月22日(日) 熊谷峻

渡辺隆之

アースコレクション 2020

2020年06月06日(土) ー 06月21日(日)

渡辺隆之、かけら Earth Collection 2020

静岡県・伊豆の山中に暮らし、「やきもの」をしながら暮らす陶芸家・渡辺隆之による、アースコレクション 2020。「かけら」「のはら」「くぼみ」と名付けられたこれらは全て、地球の一部を採取し、再構築することによって作られている。
鉱石のような「かけら」は、石が長い年月をかけて土となり、崩れ落ちた欠片を拾い上げ、形の脈に沿ってナイフを当て、それを焼成したもの。土を再び石に還元したようなその姿からは、作家・渡辺隆之が求める「やきもの」という行為にある、本質的な美しさを感じずにはいられない。また、植物を素材とした「のはら」には、土から生まれた生命のエネルギーが凝縮されている。陶芸家として知られる彼が植物を素材にし、焼かない作品を作るということは興味深いが、土から生まれた草花を摘み、薪の炎で煮る、その繊維を解いて加工し、かたちづくる行為は「やきもの」と遠く離れたものはないだろう。いつか朽ちて土に還るであろうこの作品は、土から伸びる草花が姿を変え、いくつかの過程を経て再び土に戻る途中の姿をとどめたものとして、いっとき、私たちの目を楽しませる。「くぼみ」は、その作られ方そのものに「やきもの」を見ることができる。灰のくぼみに泥を流し入れ、その上に薪をくべ、野焼きした姿である。受け止める形はある種、器のメタファーでもあり、やきものの原点に立ち戻るような感覚があるだろう。
これらの作品の多くはてのひらに収まるような大きさで、並んだ姿はまさに地球の標本のようである。美しいとされるものが溢れるこの世界で、人はなぜ、創造と造形をやめないのか。作家・渡辺隆之の生きる様、そのものをご覧いただける展覧会になると思う。どうぞ共鳴いただければ幸いです。

GALLERY crossing 黒元 実紗

※作品には、それぞれを採取した場所の座標が貼付され、Google earthに入力すれば採取地に旅することができます。それは作家の行為の記録であると同時に、作品をコレクションしたものだけの密かな関わり、新たな観賞の楽しみでもあります。

渡辺隆之、のはら Earth Collection 2020
渡辺隆之、かけら Earth Collection 2020
渡辺隆之、のはら Earth Collection 2020
渡辺隆之、Earth Collection 2020
渡辺隆之、Earth Collection 2020
渡辺隆之、くぼみ Earth Collection 2020

PROFILE

渡辺隆之
1981年静岡県生まれ。2000年やきものをはじめる。陶芸研究者の芳村俊一に出会い土への関心を深め、アジア各国で土器での生活や量産陶器を学ぶ。2005年より陶芸家・黒田泰蔵のもとで働いた後、アジア7カ国の土器文化を巡り南伊豆に移住。自ら土を掘り、薪窯をつくり、本格的制作を始める。2018年同県伊豆の国市に暮らしと制作の場ををうつす。

INFORMATION

渡辺隆之
アースコレクション 2020

2020年6月6日(土)- 6月21日(日)
※当初のスケジュールより変更になっております
12:00 - 18:00(最終日17:00)
休廊日:火曜定休

今後の展覧会スケジュール

7月23日(土)~ 8月10日(日) アラーナ・ウィルソン
8月29日(土)~ 9月13日(日) 河合和美
10月10日(土)~ 10月24日(土) 池田優子
11月7日(土)~ 11月22日(日) 熊谷峻

笹川健一

肌理 Texture

2020年04月11日(土) ー 05月06日(水)

笹川健一 グラス

ガラスの肌理。(きめ:英語ではtexture)は、表面の細かいあや、手触り、質感などを表す言葉。肌理は対象物との距離に応じて感じ方が大きく変化する。その全景を眺める時には不可視な存在ながら、そのものの雰囲気を作り出し、近く寄って手に取る時にははっきりとその素材感となって現れる。いずれにしても、肌理は私たちがモノに惹かれる重要な要素のひとつである。笹川健一の作品は、実際に触れた時の指先が感じる「ガラスらしい滑らかな感触」と、視覚で感じるノイズのような「肌理」のギャップが魅力のひとつである。再生ガラスに金属などを調合することで作り出される独特のガラス生地と、作家の美意識を感じさせるグレートーンは、静かな存在でありながら、部屋に置かれたグラスの肌理が、空間の質感を左右するような強さがある。そこには、プロダクトデザイナーや建築家のように細部を組み立てるデザイン思考と、陶芸家が土を練り合わせて独自の表現を求めるような表現力が同居し、一つのグラスの中にバランスしている。透明なガラスという存在に、ノイズを与える「肌理」と、静寂を唄う詩的な気配の魅力。ぜひ手にとってご覧ください。

GALLERY crossing 黒元 実紗

笹川健一 グラス
笹川健一 グラス
笹川健一 グラス
笹川健一 グラス

PROFILE

笹川健一
1981 神奈川県生まれ
2004 多摩美術大学美術学部工芸学科ガラスプログラム 卒業
2006 多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程工芸専攻 修了
2006-08 財団法人金沢卯辰山工芸工房 研修生
2010-14 多摩美術大学工芸学科ガラスプログラム 助手
現在 京都府にて制作

INFORMATION

笹川健一
肌理 texture

2020年4月11日(土)- 5月6日(水)
12:00 - 18:00(最終日17:00)
休廊日:火曜定休

※新型コロナウイルス感染拡大により、4月18日よりギャラリーは休廊いたします。展覧会は5/6(水)まで、オンラインビューイングページにてお楽しみください。詳細はNEWSページをご覧ください。

今後の展覧会スケジュール

6月6日~ 6月21日 渡辺隆之
7月4日~ 7月19日 アラーナ・ウィルソン

阿曽藍人

円 Circle

2020年03月20日(金) ー 04月01日(水)

阿曽藍人 円 Circle

円、まるい、ゆたかなもの、すべて。古来から人間が作ってきた宗教儀式、呪術的なものにも多く用いられ、仏教思想においては宇宙や空を示す形でもある。また、土を両手で丸め球体を形づくることは造形のはじまりであり、円という形は無限の想像力を内包するものだ。阿曽藍人は、野焼きという方法で土器を制作している。煉瓦を積み上げた囲いの中、まだ炎の残る灰の中から取り出された土器は、空気に触れて冷めるごとに、少しづつ赤みを増し、まるで呼吸をしている不思議な生き物のようであった。土器や野焼きというと、どうしてもプリミティヴな魅力が語られる事が多いが、阿曽藍人の作品には、どちらかといえば洗練された現代的魅力を感じる。それは、彼の作品が土器というものの考古学性、古代性に依らず、今、この時代に自らが作るべき土器のあり方を思考し、土との対話を重ねた表現だからなのだろう。柔らかな土の表情、表面の力強い景色とともに、円から始まる造形の魅力を感じていただきたい。

GALLERY crossing 黒元 実紗

阿曽藍人 円 Circle
阿曽藍人 円 Circle
阿曽藍人 円 Circle

PROFILE

阿曽藍人
1983年 奈良県生まれ
2009年 金沢美術工芸大学大学院修士課程 美術工芸研究科 陶磁コース修了
2010年 常滑市立陶芸研究所修了
2020年 現在、岐阜県多治見市にて制作

ギャラリー等での個展に加え、過去に大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(2015)、愛知県陶磁美術館(2015)、きそがわ日和(2011)などでも作品を発表。

INFORMATION

阿曽藍人
円 Circle

2020年3月20日(金)- 4月1日(水)
12:00 - 19:00(最終日17:00)
休廊日:火曜定休
作家在廊日:3月20日(金)、21日(土)

今後の展覧会スケジュール

4月11日 ~ 4月26日 笹川健一
5月16日 ~ 5月31日 渡辺隆之
6月6日~ 6月21日 和田明子

稲富淳輔

巡礼 Pilgrimage

2020年02月29日(土) ー 03月08日(日)

稲富淳輔 巡礼 Pilgrimage

巡礼 Pilgrimage−聖なるものに、より近付こうとする歩み、その道すがら。稲富淳輔のつくる造形物を眺める時、私たちはその生死の輪廻を巡るような長い旅路の一端に触れることになる。生まれたばかりの無垢な存在にも、かつて生きていたものの殻のようにも見える立体物は、ただ静かにそこに居るように見えるが、実際、内に秘めた激しい熱量を白い化粧で隠している。一見用途のある道具にも見える造形は、全くそうではなく、彫刻的な存在としてそこに表されているものだ。けれども、焼きものとしての表現から離れないという点で、私たちは自身に近しいものとして作品に手を伸ばし、抱き、愛でることができる点がまた魅力である。純粋な造形への執着から生まれるもの、美しさへの巡礼の途にあるものをご覧いただきたい。

GALLERY crossing 黒元 実紗

稲富淳輔 巡礼 Pilgrimage
稲富淳輔 巡礼 Pilgrimage
稲富淳輔 巡礼 Pilgrimage
稲富淳輔 巡礼 Pilgrimage

PROFILE

稲富淳輔
1981年 大阪生まれ
2007年 京都造形芸術大学大学院修士課程修了
現在 大阪府にて製作

INFORMATION

稲富淳輔
巡礼 Pilgrimage

2020年2月29日(土)- 3月8日(日)
12:00 - 18:00(最終日17:00)
休廊日:火曜定休
作家在廊日:2月29日(土)

今後の展覧会スケジュール

3月20日 ~ 4月1日 阿曽藍人
4月11日 ~ 4月26日 笹川健一
5月16日 ~ 5月31日 渡辺隆之

林亜希子

Variation

2020年01月11日(土) ー 01月26日(日)

林亜希子 2020

林亜希子の作るものは一貫してシンプルで、スマートな佇まいを持っている。手吹きガラスの柔らかな質感と、大きさや厚み、手に取った時の重さの心地よさは、他にありそうでない「ちょうど良さ」が魅力だ。そして、もう一つの魅力は、彼女の作品には定番と呼べるものが多く、それらがほんの少しづつ改良されつつも長年作り続けられている点にあると思う。そういうものは一見すると素っ気なく、目立たないデザインなのだけれど、日々の暮らしの中ではとても心地よい存在感で、なんだかんだ毎日手に取ってしまう。朝起きて、コップいっぱいの水を飲む、ただそれが美しいと思えるようなものなのだ。

今展では、工房設立以来ずっと制作されてきた自身の定番プロダクトを見直し、細部のデザインをリニューアルされたペンダントライトのシリーズを中心に、定番の新たな変化をお見せします。会期中は、1点づつ異なる色、形のガラスシェードと、コードのカラーを組み合わせてオーダーいただくことができる、ペンダントライト受注会を開催します。また定番のうつわも並びます。どうぞ足をお運びください。

GALLERY crossing 黒元 実紗

林亜希子 2020
林亜希子 2020
林亜希子 2020
林亜希子 2020
林亜希子 2020

PROFILE

林亜希子(qualia-glassworks)
1997年より大阪・朝日硝子製作所、frescoに務めた後、2010年より岐阜県美濃加茂市にて工房「qualia-glassworks」を構え制作を行う。

INFORMATION

林亜希子
Variation

2020年1月11日(土)- 1月26日(日)
12:00 - 18:00(最終日17:00)
休廊日:火曜定休
作家在廊日:1月11日(土)

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ペンダントライト受注会

色、形の異なる、一点もののガラスシェードとコードのカラー選んで、お好きな組み合わせでペンダントライトをオーダーいただけます。コードの長さもお好みで調整できますので、ぜひ天井の高さなどを測ってご来廊ください。

今後の展覧会スケジュール

2月29日(土)~ 3月8日(日) 稲富 淳輔「巡礼」
3月20日(金)~ 4月1日(水) 阿曽 藍人「Circle」