池田優子
Swell
2018年12月15日(土) − 12月28日(金)
池田優子 2018
沖へ出て、漂いながら波を待つ。大きなうねりの気配を感じて、漕ぎ出す。波のスピードに同調し、滑り出し、戯れる。波と、自分自身と対話し、時に流れに身をまかせる。波乗りのような感覚で、ろくろをひいているような、そんな呼吸を感じる器には、優しい包容力とのびやかな美しさと同時に、時折見せる自然の畏怖や破壊力とを併せ持つ魅力がある。今展の Swell / うねり というテーマに向かい、「自分の中に浮き立つ、いろいろなうねりと共に日々を過ごしています。うねりに突き動かされているのか、はたまた鎮めようとしているのか、どちらか良く分からない中で、しかしそれをどうにか自分の中に取り込もうとしてモノをつくっているように思う。」という彼女。力強い大鉢を中心に、今展に並ぶ池田優子の器からは、きっと海が見えるだろう。気持ちの良いオフショアを受けて立つ波のような、柔軟で、力のある器をご覧いただきたい。
GALLERY crossing 黒元 実紗
PROFILE
池田 優子
1973年大阪市生まれ。プラットカレッジ(米) サンディエゴ校 グラフィックデザイン科 修了。帰国後、独学で作陶を始める。自宅ガレージ内のアトリエで制作を続けながら、国内外の個展・企画展に参加。
河合和美
VEINS
2018年11月10日(土) − 11月18日(日)
河合和美 2018,VEINS
今展に際し、河合和美から出てきた言葉は「VEINS」。 静脈、水脈、葉脈、石の組織や木目などを意味することば。そして届いた色は「緋/あか」。新たにうまれたその緋は、自然との同調だけでは得られない、葛藤や戦いの上の強さとともに、女性らしい気品と色香を感じる色だったことに喜びを感じた。山間の家で自然と寄り添うように暮らしはじめた彼女から生み出される世界は、季節の事象や時間の流れ、大きな潮流の中に漂うように刻々と変化しているが、今はその粘り強い芯のある強さを増しているように思う。展示に向けて「世界や私達の内も外も満たし絶えず流れる、静かで大きな力の存在を表したい」という彼女の希望が、どのような形でギャラリーの空間に描かれるのか、楽しみでならない。
GALLERY crossing 黒元 実紗
PROFILE
河合 和美
1984年生まれ。 瀬戸で焼きものを学んだのち岡山へ居を移す。自然と土に寄り添い暮らす 日々から受け取る喜びをかたちに。
和田朋子
Apartment
2018年10月13日(土) − 10月28日(日)
和田 朋子 2018, Apartment
和田朋子のつくり出す、軽やかな即興性とリズム。想像力を刺激する光と影の装置。ギャラリーの白い空間に描かれる、立体的なドローイングのような作品は、ひとつひとつの内部空間やそれらの作る影を楽しむのも良いし、いくつかを積み重ねることで生まれる新たなコンポジションも楽しみのひとつである。今展では、彼女の代表作である「Apartment」シリーズの新作を中心に、”The Tomoko Wada”という作品をつくってほしいとオーダーした。作品を通じて見える、彼女の好奇心や発見を共有しながら、私が初めて彼女の作品と出会った時の、ハッと目の覚めるような、ワクワクする気持ちを、みなさんにも感じていただけたらと思う。
GALLERY crossing 黒元 実紗
PROFILE
和田 朋子
1986年東京都生まれ。多摩美術大学卒業。2015年より福岡県在住。2016年に福岡県にて、ガラス作家の髙橋漠とガラスウエアブランド「TOUMEI」を立ち上げる。ガラスを中心に金属や拾ってきた木や石をマテリアルとして用い、空間や間を感じさせる作品を制作。主な展覧会「A Fountain of Form」at Playmountain(2018 東京)、「透明」TOUMEI GLASS EXHIBITION at Link Lion(2017 台湾)、「Tempus est overlaps」at CURATOR’S CUBE(2017 東京)等。
福井守
IN PROGRESS
2018年09月15日(土) − 09月30日(日)
福井 守 2018, Object
途絶えることのない時の流れの中。木という素材が、様々な環境、作用によってその姿を変えながら作家の手にかかり、一時、このように磨かれて、今ここにある。美しく、静かな祈りのような存在にみえる 今 この姿さえも、生命の循環という大きな潮流の中では一瞬であり、おそらく全てに意味があり、変化し続けることの美しさがあるのだろう。作品を手に取る人々は、その滑らかな表層と質量を感じ、福井守と木々との対話をなぞるように、小さな木片の持つ、時の記憶を反芻することができるだろう。
GALLERY crossing 黒元 実紗
PROFILE
福井 守
1985 兵庫県神戸市生まれ。 2007 神戸芸術工科大学卒業。 2007 プロダクトデザイン事務所設立。 2014 独立。 兵庫県篠山市在住。
アラーナ・ウィルソン、マータ・ブダ
Ode
2018年08月17日(金) − 09月03日(月)
Alana Wilson Ode, Marta Buda
Ode; 叙情詩。Alana Wilsonのイマジネーションは、古代ギリシャの海底遺跡、水の記憶、朽ちたものたちへ繋がりながら、その感情は都会的でファッショナブルな自由のエッセンスに溢れている。豊かな自然と呼応し、手捻りで作り出される作品は、優しく、時に哀愁を誘いながら、私の中の遠い記憶と感情を揺らす。
会期中、Alana Wilsonによる20点ほどの陶作品を展示販売致します。また、今展のために制作されたMarta Budaの手織りバッグの展示販売を行います。Alanaの作品とその背景からカラーインスピレーションを得て制作された一点もののバッグは、深い海、砂漠、自然の植物などを彷彿とさせる色合い。上品な質感の良さが、カジュアルな装いのアクセントになるバッグです。
GALLERY crossing 黒元 実紗
PROFILE
アラーナ・ウィルソン
オーストラリア出身。シドニーを拠点に活動する陶芸家。海底遺跡から発掘された壺のような質感と色調の陶器は、繰り返される実験的な釉薬と焼成による。古代の壺や器、考古学的なもの、海や水から強いインスピレーションを受けている。これまでに、オーストラリア、ニュージーランドを中心に、ニューヨーク、ロンドンでも作品を発表。
www.alanawilson.com
マータ・ブダ
ニュージーランドのテキスタイルデザイナー・織物作家。様々なファッションレーベルとのコラボレーションを手がけるとともに、独自の色彩感覚とミニマルなデザインのバッグを制作する。オーガニックコットン、リネン、シルク糸を染め、丁寧に手織りで作られるバッグは世界中に多くのファンを持つ。
www.martabuda.com