吉田紳平
For example, it is the wind against your cheek
たとえば、それはあなたの頬に当たる風
2022年05月28日(土) ー 06月12日(日)
「The sea was smooth, free from waves」 海は波がなく、穏やかだった, 2022, 455×380mm
GALLERY crossingでは初となる、吉田紳平の個展を開催いたします。奈良出身の画家、吉田紳平は、自身の祖母の死をきっかけに描き始めたという、ファウンドフォトを用いたポートレイトを主軸に制作を続けるアーティストです。「For example, it is the wind against your cheek たとえば、それはあなたの頬に当たる風」と題された本展は、この数ヶ月の間に描かれた10点ほどの作品と、インスタレーションで構成される予定です。
吉田の描く、知っているような知らない誰かの面影。色鉛筆で描かれた朧げな印象に、ふとピントが会った時、鑑賞者の意識は絵画の精神世界に誘われ、感覚の扉が静かに開かれる。その時、私たちは存在する事、見ること、聴くこと、記憶すること、自身と他者の存在についての美しく親密な問いかけに出会うだろう。
黒元実紗 GALLERY crossing
「For example, you see a quiet night in your eyes」 たとえば、あなたの目には静かな夜が映っている、2022、320×410mm
「You are standing by the window」 窓辺にはあなたが立っている、2022、270×270mm
「For example, it is the wind against your cheek」 たとえば、それはあなたの頬に当たる風、2022、530×910mm
PROFILE
吉田紳平(よしだ・しんぺい)
1992年 奈良県生まれ。
2014年 京都造形芸術大学洋画コース卒業。
個展歴
2019年 「There was a silent night on my side」Artist in Residence Program (FRISE /ハンブルク)、2019年「The body is only a house of words and memories‒肉体は言葉と思い出の家にすぎない」、白金五丁目アワード アート部門・ファイナリスト展 (OFS Gallery /東京)、2021年「That star at night is closer than you think -夜のあの星は、あなたが思うよりも近くにある」(keiokairai gallery /京都)、2021年「Blick der Imagination-空想のまなざし 」(Mikiko Sato gallery /ハンブルク)
渡辺隆之
Earth collection 2022 ;
たとえその形が失われても、そこに絶えず存在するものはなんだろう。
2022年04月16日(土) ー 05月01日(日)
渡辺隆之 Earth collection 2022
静岡県伊豆の国市の山中で作陶するアーティスト、渡辺隆之。自ら土を掘り、集めた薪で窯を炊き、生きることの循環の中で「やきもの」を制作しながら国内外のギャラリーで作品を発表している。2020年GALLERY crossingでも発表した植物を素材にした作品群「のはら」や、拾い集めた土塊を焼成した「かけら」、大地の窪みの形をコピーした「くぼみ」など、一般的な陶芸家の枠にとらわれない表現は彼の考える「やきもの=生きること」への問いかけであり、生涯をかけた実験のような行為でもある。
今回は、Earth collection 2022と題し、渡辺隆之の今これからの視座を共有する場として、展覧会を開催します。自身の作品について『木陰の昼寝の木漏れ日や、微風みたいにさやさやと、じわじわ伝わったら嬉しい』という渡辺隆之の今への問いかけ。それは決して正解を求めるものではないが、身辺に置き、あるがままを自然に見ることで、少しづつ理解する楽しさを与えてくれる造形物である。
黒元実紗 GALLERY crossing
渡辺隆之 Earth collection 2022
渡辺隆之 Earth collection 2022
渡辺隆之 Earth collection 2022
渡辺隆之 Earth collection 2022
PROFILE
渡辺隆之
1981年静岡県生まれ。2000年やきものをはじめる。陶芸研究者の芳村俊一に出会い土への関心を深め、アジア各国で土器での生活や量産陶器を学ぶ。2005年より陶芸家・黒田泰蔵のもとで働いた後、アジア7カ国の土器文化を巡り南伊豆に移住。自ら土を掘り、薪窯をつくり、本格的制作を始める。2018年同県伊豆の国市に暮らしと制作の場ををうつす。
今後の展覧会スケジュール
2022年 5月28日(土) 〜6月12日(日) 吉田紳平
阿曽藍人
Heavy void
2022年03月12日(土) ー 03月27日(日)
阿曽藍人 2022
阿曽藍人は、土器というやきものをメディアに、空間と感覚の関わりについて関心を持っている。彼は土を捏ね、中空の立体を作る過程で、その内部にある見えない空間へアプローチするように造形するという。うつわから派生したというこれらの凹凸を持ったかたちは、その造形の内側に圧縮された空間を内包している。野焼きによって焼かれた土は、土器特有の野趣を纏い、また、黒く磨かれた土塊は空間に重厚な質感を与える。見るものの内なる感情を引き摺り出すような重力を持ち、見えない空間への想像力を内包する土の造形物。つい触れたくなるような柔らさと、力強さを持つ、その魅力に触れていただきたい。
本展では、野焼きによって制作された土器、泥を焼成した陶板による平面作品と共に、黒陶による新作を展示します。人々の価値観が大きく変化し、これまでと異なる生活様式が営まれるいま。こういう時代だからこそ、この展覧会が身体感覚を開き、空間に触れるというプリミティブな感覚に目覚める機会となれば幸いです。
GALLERY crossing 黒元 実紗
PROFILE
阿曽藍人(あそ・らんど)
1983年 奈良県生まれ
2009年 金沢美術工芸大学大学院修士課程 美術工芸研究科 陶磁コース修了
2010年 常滑市立陶芸研究所修了
2022年 現在、岐阜県美濃加茂市にて制作
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(2015)
愛知県陶磁美術館(2015)
美濃加茂市民ミュージアム(2021)
今後の展覧会スケジュール
2022年 4月16日(土) 〜5月1日(日) 渡辺隆之
2022年 5月28日(土) 〜6月12日(日) 吉田紳平
林亜希子
A_LIGHT
2022年01月15日(土) ー 01月30日(日)
林亜希子 "screwed work" 2022
手吹きガラスの透明感、たおやかなプロポーションと、相反するインダストリアルな部品の組み合わせがつくる緊張感 − ガラス作家・林亜希子と次回の個展について打ち合わせを重ねながら、10年程前の彼女の作品がずっと記憶の端に残っていた。それは現在では制作されていないスタンドライト型の作品で、私が最も彼女らしいと思った作品のひとつだった。
今回の個展でご紹介する新作「screwed work」は、作家自身が10年程前に発表し、以降制作されていなかった作品ををベースに、新たに制作されたものです。プロダクトとしての完璧な安全性や利便性などのセオリーにとらわれず、作家自身の「これが作りたい」という美しさを優先した作品は、使い手を選ぶアートピースとして、台数限定のエディションナンバー入りで制作されます。ひとつひとつ異なるフォルム、美しいバランス、インダストリアルな工業部品とガラスの柔らかさの共存するデザインなど、ガラス作家・林亜希子のこだわりを存分にお楽しみいただける作品となりました。
林亜希子のこれまでの技術の研鑽と、制作物に対する美意識の変化が現れたアートピースとして、再びこの作品をご紹介できるのを嬉しく思います。繊細な部分のある作品ですので、会期中はギャラリー店頭での販売・当日のお渡しを予定しています。展覧会には、定番のTable Light各色、Lens、Vaseなどの作品も並びます。年始のお忙しい時期とは思いますが、ぜひこの機会にギャラリーに足をお運びいただけましたら幸いです。
GALLERY crossing 黒元 実紗
PROFILE
林亜希子
1997年〜2002年 大阪府大阪市 朝日硝子製作所勤務。
2002年〜2008年 大阪府和泉市 fresco勤務。
2010年より岐阜県美濃加茂市にガラス工房qualia-glassworksを構え、吹きガラスによる制作を行う。
今後の展覧会スケジュール
2月23日(水)- 2月27日(日) SOMA 川合優 Pop-up show
3月12日(土)- 3月27日(日) 阿曽藍人